徹子:さて、本の話ばかりになりましたが、今度はごはんの話題に行きましょ
うか。
ぱぐ:母の母、わたしの祖母ですが、この人は喜多方郊外の農家出身で、東
京に出てきてから結婚して商売をやっていたそうですが、貧乏でずっ
と苦労してるんですね。
関東大震災とか戦争で疎開とか、いろいろあのころみんな苦労したわ
けですが、そういう中でもこどもたちにはひもじい思いをさせないよ
うにしていた、と母から聞いています。
わたしが産まれる前に祖父は亡くなってるんですけど、どうも商売は
うまい方じゃなかったみたいだし、振れ幅の激しい人で祖母はだいぶ
大変だったようです。
徹子:そういう影響でぱぐさんのお母様もごはん作りには熱心でいらしたと
か。
ぱぐ:伯母から聴くと、こどものころは別に台所の手伝いなんかしてなかっ
たって言うんですけど(笑)、まあとにかくA型の典型みたいな懸命
にやるタイプだから、熱心になったんじゃないかなあ。作りすぎて文
句が出てたくらいだから(笑)。
徹子:ぱぐさんは食べる方はお好きですが、作る方は苦手でいらっしゃると
か。
ぱぐ:料理学校とかも行きましたけど、とにかく要領悪いですからね、結婚
してから毎日ごはんを作るのがこんなに大変だとは思いませんでした
よ(笑)。わたしずっと親元で育って一人暮らししたことなかったの
で。
徹子:ご主人からダメ出しが出るんだそうですね(笑)。
ぱぐ:そうなんですよ。中華鍋はすぐ洗わないとさびちゃうんだとか、焼肉
をホットプレートで焼いたらなんだその順番はとか、うるさいので。
この間なんか食べながらけんかしてました(笑)。
こどものころはごはん炊く係だったとかいうし、ひとり暮らしが長く
て外食が多かったみたいですけど、たぶんダンナの方が腕前は上です
(笑)。要領はいいから。
家で仕事するようになってからお昼は自分で作ってますけど、夕飯だ
けはわたしが作る約束です。でも小学生男子みたいに一日何回も
「今日の夕飯は何なの?」って訊かないでほしい(笑)。
うまいとも言いませんがまずいとも言わないから、わたしの料理の腕
前はかなり評価低いんじゃないかな(笑)。てきとうに作ると変な味
になるので、いちおう今でも料理の本を見ながら作ってますよ(笑)。
徹子:外食すると、自分の食べた分を払うんだそうですね。
ぱぐ:そうなんですよ。今年は残業のない仕事で早くあがれるから余裕があ
りますが、肉体労働で残業が入っちゃうと、それでなくても苦手な料
理を作る気力なんか涌かないじゃないですか。で、外食にすると、ちゃ
んと食べた分払わなきゃいけないので、金銭的にはとてもイタイです。
今はフトコロに余裕がないからずっとうちで夕飯食べてますが、たま
には外食したいですよね。わたしは大して呑めないので、呑み屋に行っ
ても食べる方が主です。
徹子:お料理の本はどんなものをお持ちですか?
ぱぐ:料理教室に通っていたベターホーム協会の本と、母のオススメの婦人
の友社の「毎日のお総菜シリーズ」、伯母からもらった『NHKきょう
の料理 秘伝おかずづくり』を見ることがいちばん多いかな。
あとは『向田邦子の手料理』、きょうの料理シリーズの『松本忠子
<あつこ>のもう困らない今夜のおかず』とか。
前に主婦としても大ベテランの年上の友達が遊びに来たとき、
「ぱぐさん、婦人の友の本を持ってるんですねえ」
ってチェックされちゃったことがあります(笑)。
徹子:向田さんの妹さんがやっていた「ままや」に行かれたことがあるそう
ですね。
ぱぐ:そうそう、最初に勤めていた団体職員だったころですね。派遣で来て
いた数字キーを打つのがものすごく早い女の子を誘って行ったことが
ありましたけど、あの人どうしてるかなあ。仕事がとてもできるんで
職場じゃ評価高くてけっこう長くいてもらったんですよ。
「ままや」のごはん、おいしかったですよ。
徹子:あと、ご主人が節約メニューの本を買ったとか。
ぱぐ:「ひと月8000円でできる節約おかず」とかいうような本ですね。
今はもやしメニューだけの本とかあるそうだし、コールセンターに
勤めていた時の年下のひとり暮らしの人たちは「きょうのお弁当は
○百円でできた」とか言ってたから、うわ大変だなと思いましたよ。
派遣って基本交通費なしだし、契約更新されるかどうか不安ですから
ね。無理して体調崩す人多いんです。みんな元気だろうか。
徹子:今年は学校でのお仕事ということで、給食を召し上がっているそうで
すね。
ぱぐ:そうなんですよ。これがなんといっても楽しみでねえ(笑)。今の給
食は格段においしくなってますね。先割れスプーンなんか使わないし、
陶器の入れ物だし。
大人たちも配膳をわいわい言いながらやってます。お膳の上の順番は
これだ、とかチェックする人がいて、団体職員の時のこと思い出しま
したよ。お弁当付きの会議がけっこうあって、その配膳を事務局とし
てやったので。わたしは不器用だし接客とかぜったい向かないと思っ
ていたのでウェイトレスみたいなアルバイトはやったことなかったん
ですけど、仕事でやらざるを得なくなりましてね。
わたしがコーヒーをお盆に載せて持って行くと、会議に出ている事務
局のエライおじさんが横目で心配そうに見てました(笑)。
徹子:まだまだお話は尽きないんですけど、次回にまた伺うことにいたしま
しょう。今日はありがとうございました。
ぱぐ:またつい長々おしゃべりしちゃいましたね。楽しかった。
ありがとうございました。