‘向井敏’ カテゴリーのアーカイブ

愛読していた雑誌あれこれ

2010年4月10日 土曜日

8日から仕事が始まって、最初の週末を迎えました。
ちょっとくたびれています。
荒削りなメモの延長ですが、どうぞ♪

―☆―☆―
最近はネットの時間に移管した気がするけど、
前は愛読していた雑誌があった。

「週刊朝日」(朝日新聞社発行の週刊誌)
母方の伯母が取っていたので、遊びに行くと読んだ。
ポルノ路線(笑)に走る前の
渡辺淳一『化粧』(1982年、朝日新聞社。
のち新潮文庫、講談社文庫、新潮文庫)が好きだった。
司馬遼太郎「街道をゆく」はときどき読んで、
文庫本になったら買って読むことにしていた。
村上春樹の「村上朝日堂」は文庫になってから古本で。
小説は熱心な読者ではないが、CD-ROM版
(「夢のサーフシティ」「スメルジャコフ対織田信長家臣団」)
と「村上さんに聞いてみよう」シリーズ3冊を愛読している。

「図書」(岩波書店のPR誌。月刊)
両親が岩波書店好きだったので、実家では今でも取っている。
岩波茂雄が小さな出版社を始めたころに
丁稚さんから編集者に起用され、
茂雄亡き後は経営にも携わった小林勇(1903-1981)に
20代のころ、凝っていた。
「図書」創刊者の1人であり、あとがきを書いていたこと
を知って、当時の「図書」をいろいろ読んだ。
学者の随筆が好きだが、
ここで見つけた学者が多い気がする。
中野好夫(英米文学)、高宮利行(中世英文学、書誌学、デジタル書物学)、
千野栄一(チェコ語)ほか

「銀座百点」(銀座の老舗商店会が発行するタウン誌の先駆け)
加盟店でもらえるので、ときどき読んでいた。
銀座が粋だったころの匂いを残す雑誌。
書く人の顔ぶれが豪華で、読み応えあり。
今、銀座は大きく変わってしまっているけど、
その雰囲気は残っているんだろうか。
向田邦子『父の詫び状』は大学生になって文庫本で読んだのだが、
初出は「銀座百点」だったという。
小田島雄志・村松友視などの鼎談がおもしろかった。

「オール讀物」(文藝春秋発行の、名前の通り読みものを掲載する老舗月刊誌)
30代以降、ときどき立ち読みしたり買った。
平岩弓枝『御宿かわせみ』
丸谷才一のエッセイのシリーズ。
神谷美恵子の義父になったかもしれない野村胡堂の『銭形平次捕物控』
藤沢周平はオール讀物新人賞で作家デビュー。
好きな著者しか読まない傾向があるので、
ふだん知らない作家を読むきっかけになる。
松井今朝子もこれで知った。

「東京人」(「ニューヨーカー」をお手本に作られた雑誌。現在は月間。都市出版発行)
丸谷才一のジャーナリズム批判シリーズを愛読。
向井敏が書評同人だった。
森まゆみの「望郷酒場」が好きだった。
散歩する参考にしたり、落語や飲み食い特集を購入。

「考える人」(新潮社発行の季刊誌。文学、音楽などを特集して取りあげる)
丸谷才一のインタビューやジュンパ・ラヒリの初訳などが
あれば買う。
ユニクロが1社スポンサー。

……最後になりますが、
いちおうわたしも女の子だった時期がありまして(笑)、
女性向きの雑誌で読んだことがあるのは、
アンアン、ノンノ、モアあたりです。

ヴァンダールワタナベだったかな、占いのコーナーが
けっこう好きでした(調べてみたら、ルネ・ヴァン・ダール)

ノンノは月2回発行だったのが月刊誌になるとか。
一時期よりは読者が戻っているそうですが、さてどうなるのでしょう。

開設記念に「徹子の部屋」で語る

2010年3月18日 木曜日

♪ルールルルルル ルールルルルル ルールールール ルルッル…

徹子:みなさまこんにちは、徹子の部屋です。
   本日のお客様は、お小さいころから活字を読むのが大好きで、
   このたび本の紹介と感想のブログ「乱れ読み記」を開設され
   たぱぐさんです。
   きっかけやねらいをお訊きしたいと思います。

ぱぐ:こんにちは、この部屋には2回目の出演ですね。よろしくお
   願いします。

徹子:前回より顔色がよくなられたみたい。
   さて、今日のお召し物はグリーンと紺のチェック柄のフラン
   ネルシャツに、えんじ色のアーガイルセーター、グレーのパ
   ンツスタイル、黒いショーツブーツです。

ぱぐ:前回は少しよそ行きでしたが(笑)、今回は普段着でまいり
   ました。

徹子:パンツスタイルの方が、リラックスなさってる感じがします
   よ。

ぱぐ:自分を女だと意識したことがあまりなくって(笑)。10年
   も女子校に行ったんですが、中高の同級生に「おじさま」と
   いうあだ名を奉られたことがあります(笑)。

徹子:まぁ、「おじさま」!(爆)
   前から書いていらっしゃる「天衣無縫」というブログでも、
   <日記><食べたり呑んだり>の次に<読書>が多いそうで
   すが、改めて本のブログを作ろうと思われたのは?

ぱぐ:「天衣無縫」はまず、文章稽古のために作ったブログですの
   で、ネタは何でもありなんです。本のことも出てきますが、
   だいたいは日記の中でちらっと触れている程度。
   うちのダンナはパソコンソフトの開発をやっている技術者で、
   設定などはおまかせなんですが、前から「書評ブログを作っ
   てみたらどうなの?」と言われていたんですよ。

徹子:ご主人のお勧めということですか。

ぱぐ:直接はそうですね。
   書くのも好きなので、じゃあ思い切ってやってみようかな、
   と。書評だと大げさだから、本の紹介と感想のブログにしま
   した。

徹子:もともと書評を読むのがお好きだったそうですね。

ぱぐ:目についた本を買ったり借りたりすることもありますが、書
   評を読んで面白そうだと思った本は手帳にメモしておいて、
   手に入れることにしています。

徹子:特にお好きな書評はありますか?

ぱぐ:ひとつの字数がたっぷりあって、書評委員があまり変わらな
   い、毎日新聞の書評欄(今週の本棚)は毎週楽しみにしてます。
   
   個人名を挙げると、2002年に亡くなった<書評の名手>向井
   敏(さとし)さんや、40年も(!)書評を手がけておられる
   丸谷才一さん、それに英米文学専攻の学者で小説を読むのが
   大好きな若島正さんの書評は手に入る限り読んでます。

*若島正『殺しの時間―乱視読者のミステリ散歩―』(2006、バジリコ)

徹子:なぜか男の方ばかりですねえ。何か琴線に触れるところがお
   ありですか?

ぱぐ:司馬遼太郎や中島敦も好きだったりするので、男性的な?文
   章が好みなのかなぁ。
   女性でも幸田文とか向田邦子、最近の人なら米原万里など、
   歯切れのいい文章が好みです。

徹子:書評は文章の書き方のお手本にもなるとか。

ぱぐ:そうですね。いかに読者を読みたい気持にさせるか、文章の
   芸が見せどころです。
   「天衣無縫」を書くときの参考にもなっていると思いますよ。
   ネットでオープンに書いているということは、大げさに言え
   ば世界中の方が読む可能性があるっていうことですよね。

徹子:全世界相手のブログですか(笑)。

ぱぐ:ふだんはそこまで意識しないで、書きたいように書いてます
   けど(笑)。

徹子:ぱぐさんは新しい本にはあまり手が伸びないということです
   が、書評で知って読みはじめた本はありますか?

ぱぐ:インド系のアメリカ人女性作家、ジュンパ・ラヒリの短編集
   『停電の夜に』(新潮文庫)は、向井敏さんの書評<低声
   (こごえ)で語る人生のさまざま>で知ったんだと思います。
   旅のお供にも本は欠かせませんが、近江への一人旅で瀬田に
   泊まったとき、読むものがなくなって町の本屋に入ったんで
   すよ。さんざん迷ってから「そういえば、これ書評で見たなぁ」
   と思って買いました。

*向井敏『背たけにあわせて本を読む』(2002、文藝春秋)
*ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』
 (小川高義・訳、2000、新潮文庫。米国での原著刊行は1999)

徹子:実際に読んでみていかがでした?

ぱぐ:シングルルームのバスタブに浸かりながら読んだのを今でも
   覚えていますが、みっけものをした気分でした。ラヒリの小
   説はごはんがおいしそうなんですけど、細部の描写が行き届
   いています。
   それからお気に入りになって、第2作の長編『その名にちな
   んで』(新潮文庫)、第3作の短編集『見知らぬ場所』(新
   潮クレストブックス)と今まで出たものはみんな読んでます。

*ジュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』
 (小川高義・訳、2007、新潮文庫。米国での原著刊行は2003)

*ジュンパ・ラヒリ『見知らぬ場所』
 (小川高義・訳、2008、新潮クレストブックス。米国での原著刊行も2008)

徹子:『その名にちなんで』は映画もご覧になったとか。

ぱぐ:ミーラー・ナーイルという女性監督の作品です。本だと想像
   するしかない、カルカッタの風俗が映像でわかっておもしろ
   かったですね。

*映画DVD『その名にちなんで』(2006、米国。日本での公開は2007。DVD発売は2008)

   あと、ほんとうは原文でも読めるといいんですが、日本語以
   外は不得手なので、翻訳者の腕にも注意してます。へんな文
   章だと内容に関係なく腹が立ってきて、読めなくなるので。
   ラヒリの翻訳は小川高義さんという方が手掛けていらっしゃる
   んですが、とても読みやすい。

徹子:本の話になると、ぱぐさんの目が輝きますね(笑)。ほんとう
   にお好きなんだということがわかりました。

ぱぐ:丸谷才一さんが「文章の名手が大好きなものについて書けばよ
   い随筆集ができる」と書いていらっしゃるんですよ。
   文章についてはまだ修行中(笑)ですけど、もともと小説より
   はエッセイが好きなので、数をこなしていくうちに手応えを感
   じられたら、何よりです。

*丸谷才一『蝶々は誰からの手紙』(2008、マガジンハウス)

   あと、読者のみなさんと本についておしゃべりする場になるの
   も楽しみにしています。

徹子:どんなものができるのか楽しみにさせていただきます。
   今日はありがとうございました。

ぱぐ:こちらこそ、長々と失礼いたしました。