野上弥生子が最後まで現役の作家だったわけ

2010年4月1日
Filed under: エッセイ,伝記・自伝,文章について,書評,松岡正剛,野上弥生子 — ぱぐ @ 04:21

というのを、この間から考えてます。

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数え年なら100歳まで(!)、
現役の作家を貫き通した、
この明治・大正・昭和を見届けた女性作家(1885-1985)
が若いころから気になっています。

まず
本人の気力・眼力が
尋常なものじゃなかったのはたしかですが、

*いいものはいい、だめなものはだめ、とはっきり言うこと
*若い作家(ことに女性)のいいところを発見すると、
 自分もそこから学ぼうと考える柔軟性
*お勉強好き(笑)でもわかるように好奇心がいつまでもあった
*自分をネタにできるユーモアの持ち主だった

そして、作家として何よりよかったのは、
*自分のペースでものを書けたこと
でしょうね。

頼まれ原稿もエッセイなんかはあったと思いますが、
小説は自分のペースで悠々堂々、
一人山ごもりして書いていた
という。

書くこと=食べることじゃなかった、
という恵まれた環境でもあったわけですけど。

松岡正剛が「千夜千冊」第934夜で取りあげてる野上弥生子
がとてもいい。

読んだり書いたり考えたりするのが
好きな女性には、とても刺激になるはず。

よく切れるペーパーナイフみたいな
野上弥生子の文章は、
慣れてないと取っつきにくいかも知れませんが、
文章のお手本のひとつになると思います。

最近、初めての本格的な評伝
狩野美智子『野上弥生子とその時代 』
が出たそうで、興味あります。
読んでおもしろかったら、感想書くかもしれません。

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コメント / トラックバック1件

  1. ぱぐ より:

    自己レスです。
    いま思い出しましたが、前に岩波書店のPR誌「図書」が「野上弥生子読書感想文コンクール」とかいうのをやっていて、選考委員の中に竹西寛子(いずれ取りあげます)が入っていたので、応募したことがあったんでした。
    最後の未完小説『森』(新潮社)を選んだんですけど、ありがちな書き方になって、今思うとつまんないことしちゃったな、と。
    まあ竹西寛子が読んでくれたかも知れないのはうれしいことなのですが。

    あと、野上弥生子は大分の臼杵(うすき)出身ですが、ロンドン憶良さんという英国史のサイトをつくっていらっしゃる方が弥生子と同郷で、行くことがあったら案内してあげる、と言ってくださったことがあります。お元気かな、ロンドン憶良さん。
    臼杵は行きたいところのひとつです。戦国時代の武将、大友宗麟の本拠地でもあったと思う。

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