‘エッセイ’ カテゴリーのアーカイブ

新潮文庫の100冊

2010年7月11日 日曜日

お久しぶりです。
前回の更新から2ヶ月くらい経ってしまいました。

夏休み前の今ごろ、各文庫から○○文庫の百冊、というのが出ますね。
新潮文庫が始めたのかなあ、あれ。

中高のころ、本屋から「新潮文庫の100冊」の小冊子をもらってきて、
よく眺めていました。
もともと、わたしは新潮文庫のデザインが好きで、
各文庫から同じものが出ていたら新潮文庫にすることが多いのです。
たぶんうちにある文庫本も新潮がいちばん多いんじゃないかな。

新潮社はもともと「新潮」という文芸雑誌から始まった出版社なので、
文芸ものに定評があります。
装幀室という、装幀の専門家(デザイナーですね)を
雇う専門部署があるのもめずらしい。

文庫のキャラクターであるYonda?パンダが好きで、
ピンバッジと文庫本カバーをもらったことがあります。
次はマグカップを狙っている。20冊でもらえるんだったかな。

今年の100冊キャンペーンは
<新潮文庫の100冊からどれでも2冊買うと
 Yonda?のバンダナ「ヨンダナ」がもらえます>

というもの。種類は6つ。どれが当たるかはお楽しみ。

コレクターの方、もし全部集めたかったら
<6口をまとめて応募してくだされば、
 ちゃんと6種類が届きます。
 バラバラにではなく、6口まとめて、でお願いします!>
とツイッターで告知してましたのでお試しを。
小冊子についているはがきだと2口までしか応募できないので、
3口以上応募する場合は官製はがきで。

今年残念なのは、中島敦が100冊からはずされてしまったこと!
司馬遼太郎『燃えよ剣』は相変わらず入ってますが。
わたしはこれで中学生の時、司馬遼太郎にはまったのでなつかしい。

特製カバー10冊というのがあるのですが、
三島由紀夫『金閣寺』が金色なのが笑えます。
川端康成の『雪国』は銀。

どーんと100冊(セットで110冊)大人買いもできます。
57,316円なり。これ110冊全部足した値段なのかな。
すこし割引もあり??

ちなみにわたしが新潮文庫で読んだもの。
 壺井栄、司馬遼太郎、塩野七生、村上春樹、丸谷才一、宮沢賢治、夏目漱石、北原白秋、堀内大學、森鴎外、向田邦子、太田和彦、野上弥生子、チップス先生さようなら、ジェフェリー・アーチャー、ジュンパ・ラヒリ、ジェーン・オースティン『自負と偏見』、チャップリン自伝、シャーロック・ホームズ(延原謙の訳はいいですよ)、O・ヘンリー短編集など。

本とごはんについて「徹子の部屋」で語る(1)

2010年5月4日 火曜日

♪ルールルルルル ルールルルルル ルールールール ルルッル…

徹子:みなさまこんにちは、徹子の部屋です。本日のお客様は黄金週間中
   のぱぐさんです。4月からのお仕事が一段落してゆっくりお休み中
   だそうですが、今日はまったりと<本とごはんについて>語ってい
   ただきたいと思います。

ぱぐ:こんにちは、よろしくお願いします。
   先日のスペシャル、拝見しましたよ。浅田姉妹と辻井くんのが好き
   でダンナと楽しんで見ていました。

徹子:ありがとうございます。いつものこの部屋を出ての番組、たのしかっ
   たわ。
   さて今日のぱぐさんのお召し物は、マドラスチェックの半袖開襟シャ
   ツに麻の生成りのスカート、黒いスパッツですね。靴はひも付きの黒
   い革靴です。

ぱぐ:季節感で言えばサンダルなんかでもいいんでしょうけど、今持ってい
   ないものですから、いつもの革靴にしちゃいました。

徹子:さて、ぱぐさんは本とごはんが贅沢なご家庭でお育ちになったとか。

ぱぐ:そうなんですよ。こどものころって自分のうちが基準みたいなところ
   あるじゃないですか。だから当たり前だと思ってたんですけど、大き
   くなったらそうじゃないんだってことがわかってきました。
   うちは両親とも昭和ひとけた生まれで、貧乏な中育ったものですから、
   ごはんをたくさん食べることと、本を好きなように読みたい、という
   のが熱烈な願いだったらしくて、それが家庭を持ってから実現したら
   しいんですね。

徹子:お父さまは信州の農家出身、お母さまは東京の商家出身ですね。

ぱぐ:そうです。父は昔の文学青年なんですけど、貧乏な農家で本を読むの
   なんか贅沢だったので、勤め人になってからは自分の読みたい本を買
   うのが一番の楽しみだったらしく、団地住まいだったのに押入の中と
   か本でいっぱいでした。本棚に入りきらない分が押入に入ってたらし
   くて(笑)。

徹子:そういう本がたくさんある中で育ったことが、今のぱぐさんを作った
   大きな要因だそうですね。

ぱぐ:わたしも父と同じく、本を読んでいれば満足、というところありまし
   たからね。かなり早くから字は読めたと思いますし、母がまた教育熱
   心でうちの児童書は福音館と岩波だったので、いい本を読む環境だっ
   たという。それも当たり前だと思ってたんですけど、同世代と話すと、
   「すごいね、それ」ってなんか引かれちゃうんですよね(笑)。
   
   わたし、いわさきちひろを知ったのは徹子さんの『隣のトットちゃん』
   を高1の時、担任の先生(体育)がホームルームで話して
   「借りたい人がいたらどうぞ」
   と言ったので、はい!って真っ先に借りてからなんです。
   学生時代、上井草のちひろ美術館によく行きましたよ。友の会の会員
   にもなっていましたし。

徹子:まあそうですか。わたくしの本がきっかけだったとは。ありがとうご
   ざいます。

ぱぐ:「もっと早くちひろを知りたかった」
   と母に言ったら、自分の選んだものに自信があったからか、ショック
   受けてましたよ(笑)。

徹子:大学で国文科に進んで、古典を専攻したのも家にあった本が影響して
   いるとか。

ぱぐ:そうですね。父も国文出てるんですけど、卒論は近代詩の方だったと
   思います。はっきり答えてくれなかったので何を題材にしたか知りま
   せんけど。
   わたしが古典好きになったのは、中学高校の時の学年主任の先生がお
   もしろい授業をなさる方で、その授業に魅せられてからですね。

徹子:女子の一貫校ですよね。

ぱぐ:そうです。2歳半下の弟が付属小学校に入学することになって、きょ
   うだい同じ学校の方がよかろうというわけで、わたしは4年から編入
   したんですけど、中学高校の6年間がいちばんいろんな影響受けてま
   すね。
   その学年主任の先生みたいな授業ができたらいいなあ、と思って、中
   学高校の教員免許を取りました。教職に就いたことはないんですけど。
   あ、今年は某学校で先生方のお手伝いの仕事をしています。

徹子:おうちにあった古典の本というと、どんなものですか?

ぱぐ:岩波の旧古典文学大系が、全部じゃないと思いますけどかなりありま
   した。わたしが面白がって読んだのは川柳と近松門左衛門、大鏡、平
   家物語あたりかな。あと、枕草子を学校で習った時は全文が載ってい
   る本を買ってきて父が講読してくれたんですけど、教え方がこわすぎ
   て(笑)、一緒にやってもらうのがいやだったという(笑)。

徹子:お嬢さんに対してかなり厳しかったんですか。

ぱぐ:そうなんですよね。わたし要領が悪くてしょちゅう「馬鹿」とか「間
   抜け」とか言われましたし、小さいころはぶん殴られましたからね。
   向田邦子さんの『父の詫び状』を初めて読んだ時、なんだうちと同じ
   じゃん、と共感を持ったという(笑)。

徹子:ほかにはどんな本がありましたか?

ぱぐ:あと、角川の日本史辞典という小さいながら中身の詰まった辞典があ
   りまして、それを父が新しいのが出るたびに買っていたので、勝手に
   使わせてもらいましたし、今も自分で持ってます。

徹子:専攻されたのは国文ですが、日本史にしようか迷われたとか。

ぱぐ:そうですね。中央公論から出たむかしの『世界の歴史』『日本の歴史』
   が好きで(これもうちにあったんですが)、ずいぶん読みましたから。
   『日本の歴史』の第5巻、土田正鎮(まさしげ)さんの「王朝の貴族」
   は名文だしおもしろくて、いいな史料編纂所で仕事するのなんかおも
   しろいだそうな、と思っていましたよ。

徹子:土田正鎮さんは東大の史料編纂所の所長から佐倉にある国立歴史博物
   館の館長になった方ですね。

ぱぐ:そうです。お兄さんがピース缶爆弾事件で奥さんを亡くした警視庁に
   お勤めだった土田國保さんです。徹子さんならご存じでしょう。わた
   しはこどものころですから、あとで知ったんですけど。

徹子:覚えてますよ。国文になさったのは恩師のひと言が決め手だったそう
   ですね。

ぱぐ:わたしが行った大学は2年生の時に専攻を選ぶので、日本史にもかな
   り心が動いたんですけど、母校に行ってさっきの学年主任の先生に相
   談したら、
   「あなたは文学よ」
   と言われたので、まあ先生が言うならそうなのかな、と思って国文に
   しました。先生ご自身は国文の方と日本史と両方勉強なさったんじゃ
   なかったかな。雑談ばかりしてるみたいでしたけど、ちゃんと授業は
   進行してましたよ。どういうものを題材にするかは自分で決めて印刷
   したものを配っていたし。ああいう名人芸はほかで見たことないです。

(つづく)

実用的な村上春樹

2010年4月17日 土曜日

村上春樹も塩野七生と同じく、30代になって
読み始めたおそい読者です。

小説は全部は読んでないですね。
続編が出て話題になっている『1Q84』(新潮社、2009)以外に、
最初期の『風の歌をきけ』(講談社文庫)とか
『ダンス・ダンス・ダンス』(講談社文庫)も読んでないな。
たまたま古本屋で手に入らなかったのと、
ファンタジーが苦手なのが関係あるかもしれません。

小説で好きなのは短編「はちみつパイ」
(『神の子どもたちはみな踊る』所収(新潮文庫、2002。単行本は2000)。

好きなのは「村上朝日堂」シリーズと、
特設サイトで読者の質問に答える
『そうだ、村上さんに聞いてみよう』シリーズ。
あと新潮社から出た「少年カフカ」(これも読者の質問に答える方式)。
引越の時はそれだけ残しました。

(1)赤本、2000年、朝日新聞社

(2)青本、2006年3月、朝日新聞社

(3)緑本、2006年11月、朝日新聞社

『少年カフカ』(新潮社、2003)

文章について書いているので、それをご紹介。

―★―★―
 ときどき「どうしたらうまい文章が書けますか?」
という質問を受けるのですが、僕の答はひとつだけです。
とにかく何度でもいいから読み直し、書き直すこと。
これしかありません。プロだってアマチュアだって、
これは同じことですね。
 書き直すときには、書き直しと書き直しのあいだに
しかるべき時間を置くといいです。更にいえば、
一回の書き直しのときに、それぞれのテーマを設定すること
(たとえば今度は全体の文章をできるだけ短くしてやろうとか、
今度はできるだけ長くしてやろうとか)。
(『スメルジャコフ対織田信長家臣団』朝日新聞社、2001年、
 p.15 <村上ラジオ25>より )
これは村上朝日堂のCD-ROM版。
―★―★―

以下はわたしの意見。
野球の守備をよくするために千本ノックを受けるのと同じ。
ある程度数をこなせるようになったら、
初めて自分のレベルがわかり、
目標が立てやすくなります。
漠然と「作文うまくなりたい」でうまくいくわけない。

愛読していた雑誌あれこれ

2010年4月10日 土曜日

8日から仕事が始まって、最初の週末を迎えました。
ちょっとくたびれています。
荒削りなメモの延長ですが、どうぞ♪

―☆―☆―
最近はネットの時間に移管した気がするけど、
前は愛読していた雑誌があった。

「週刊朝日」(朝日新聞社発行の週刊誌)
母方の伯母が取っていたので、遊びに行くと読んだ。
ポルノ路線(笑)に走る前の
渡辺淳一『化粧』(1982年、朝日新聞社。
のち新潮文庫、講談社文庫、新潮文庫)が好きだった。
司馬遼太郎「街道をゆく」はときどき読んで、
文庫本になったら買って読むことにしていた。
村上春樹の「村上朝日堂」は文庫になってから古本で。
小説は熱心な読者ではないが、CD-ROM版
(「夢のサーフシティ」「スメルジャコフ対織田信長家臣団」)
と「村上さんに聞いてみよう」シリーズ3冊を愛読している。

「図書」(岩波書店のPR誌。月刊)
両親が岩波書店好きだったので、実家では今でも取っている。
岩波茂雄が小さな出版社を始めたころに
丁稚さんから編集者に起用され、
茂雄亡き後は経営にも携わった小林勇(1903-1981)に
20代のころ、凝っていた。
「図書」創刊者の1人であり、あとがきを書いていたこと
を知って、当時の「図書」をいろいろ読んだ。
学者の随筆が好きだが、
ここで見つけた学者が多い気がする。
中野好夫(英米文学)、高宮利行(中世英文学、書誌学、デジタル書物学)、
千野栄一(チェコ語)ほか

「銀座百点」(銀座の老舗商店会が発行するタウン誌の先駆け)
加盟店でもらえるので、ときどき読んでいた。
銀座が粋だったころの匂いを残す雑誌。
書く人の顔ぶれが豪華で、読み応えあり。
今、銀座は大きく変わってしまっているけど、
その雰囲気は残っているんだろうか。
向田邦子『父の詫び状』は大学生になって文庫本で読んだのだが、
初出は「銀座百点」だったという。
小田島雄志・村松友視などの鼎談がおもしろかった。

「オール讀物」(文藝春秋発行の、名前の通り読みものを掲載する老舗月刊誌)
30代以降、ときどき立ち読みしたり買った。
平岩弓枝『御宿かわせみ』
丸谷才一のエッセイのシリーズ。
神谷美恵子の義父になったかもしれない野村胡堂の『銭形平次捕物控』
藤沢周平はオール讀物新人賞で作家デビュー。
好きな著者しか読まない傾向があるので、
ふだん知らない作家を読むきっかけになる。
松井今朝子もこれで知った。

「東京人」(「ニューヨーカー」をお手本に作られた雑誌。現在は月間。都市出版発行)
丸谷才一のジャーナリズム批判シリーズを愛読。
向井敏が書評同人だった。
森まゆみの「望郷酒場」が好きだった。
散歩する参考にしたり、落語や飲み食い特集を購入。

「考える人」(新潮社発行の季刊誌。文学、音楽などを特集して取りあげる)
丸谷才一のインタビューやジュンパ・ラヒリの初訳などが
あれば買う。
ユニクロが1社スポンサー。

……最後になりますが、
いちおうわたしも女の子だった時期がありまして(笑)、
女性向きの雑誌で読んだことがあるのは、
アンアン、ノンノ、モアあたりです。

ヴァンダールワタナベだったかな、占いのコーナーが
けっこう好きでした(調べてみたら、ルネ・ヴァン・ダール)

ノンノは月2回発行だったのが月刊誌になるとか。
一時期よりは読者が戻っているそうですが、さてどうなるのでしょう。

野上弥生子が最後まで現役の作家だったわけ

2010年4月1日 木曜日

というのを、この間から考えてます。

「野上弥生子」で検索した結果はここをクリックしてください(アマゾン)。

数え年なら100歳まで(!)、
現役の作家を貫き通した、
この明治・大正・昭和を見届けた女性作家(1885-1985)
が若いころから気になっています。

まず
本人の気力・眼力が
尋常なものじゃなかったのはたしかですが、

*いいものはいい、だめなものはだめ、とはっきり言うこと
*若い作家(ことに女性)のいいところを発見すると、
 自分もそこから学ぼうと考える柔軟性
*お勉強好き(笑)でもわかるように好奇心がいつまでもあった
*自分をネタにできるユーモアの持ち主だった

そして、作家として何よりよかったのは、
*自分のペースでものを書けたこと
でしょうね。

頼まれ原稿もエッセイなんかはあったと思いますが、
小説は自分のペースで悠々堂々、
一人山ごもりして書いていた
という。

書くこと=食べることじゃなかった、
という恵まれた環境でもあったわけですけど。

松岡正剛が「千夜千冊」第934夜で取りあげてる野上弥生子
がとてもいい。

読んだり書いたり考えたりするのが
好きな女性には、とても刺激になるはず。

よく切れるペーパーナイフみたいな
野上弥生子の文章は、
慣れてないと取っつきにくいかも知れませんが、
文章のお手本のひとつになると思います。

最近、初めての本格的な評伝
狩野美智子『野上弥生子とその時代 』
が出たそうで、興味あります。
読んでおもしろかったら、感想書くかもしれません。

塩野七生でいちばん読んでる本

2010年3月28日 日曜日

塩野七生『人びとのかたち』(新潮文庫、1995、元本1993)

好きな著者については、
手に入る限りずるずる~と
なんでも読むのがわたしの主義です。

中学生の時『燃えよ剣』(新潮文庫)で
司馬遼太郎に出逢って以来、
その文章にまず惚れて、
大学生になってからかなー、
古本屋で文庫本になっているのを
かたっぱしから集めました。

まだ「街道をゆく」は週刊朝日
(しばらく読んでませんが、最近どうなのかな。
雑誌は全般売れてないそうですね)
に連載中だったので、
たまに立ち読みくらいはして、
単行本ではなく
文庫本になったものを手に入れる、と。

塩野七生は30代になってから読み始めたので、
遅い読者です。
いちおうわたしも女ですから(笑)、
女の人で波長の合う文章を読みたい、と
つねづね思っているところに、
率直・ユーモア・歴史を俯瞰から見ることができる、
というまさにぴったりの著者が塩野七生なのでした。

そうそう、切れ味のいい文章も好みです。

『ローマ人の物語』(新潮文庫)は、
オカネがなくなって続きが読めていませんが、
20代から関心を持ち続けている
神谷美恵子(1914-1979)のことを知るヒントとして、
キリスト教がローマ社会にどう定着していったのか、
非キリスト者である人から
解説してもらうのがわかりやすいので、
「キリスト教の勝利」を読むのを楽しみにしています。

で、実は塩野さんの本で
いちばん繰り返し読んでるのが
冒頭の本なのでした。

「映画鑑賞を読書と同列において
 私を育ててくれた
 今は亡き父と母に捧げる」

という献辞の通り、年季の入った映画鑑賞歴の持ち主が
映画をネタにあれこれ考えてエッセイを書いているので、
おもしろい。
今だったらブログを書いているような感じじゃないでしょうか。
考えるヒントがたくさんあります。

わたしはそれほど映画に入れ込んでいませんが、
本と同じくクラシックな映画が
若いころから好きだったので、
観ていなくても感覚としては
通じるところがあります。

いちばん好きなのは、
「優しい関係」。

  愛する人や親しい人々を傷つけることなしに、
  恋愛は成り立たないものであろうか。
  障害になるものすべてを轢き倒して進む馬車に
  似てがむしゃらに前進する恋愛だけが、真の恋
  だと思っている人が多い。他はすべて、妥協の
  産物だというのだ。

こういう書き出しで始まり、
『Same Time Next Year』(1978、アメリカ)
を紹介するのです。

いまアマゾンで検索したら輸入盤VHS
(DVDはないんですかねー?)が出てきたので
びっくりしましたが、そうか観られるんだ。
資金のめどがついたら購入に走るつもり。
字幕ないから英語を聴き取らなくては(笑)。

激動の1950年代から70年代のアメリカ社会
を背景にした、年に一回24時間だけ
逢瀬を繰り返す男女の話。
「来年も同じ時期に」という題名ですね。

日本では加藤健一・高畑淳子コンビの芝居が
ヒットしたと聞いていますが、わたしが
この本を読んで観たいな、と思った時にはもう
やってなかった。検索してみましたが、
DVDとかはないみたいですね。
芝居の脚本は日本語に訳されたものが
あるみたいなので、リンク張っておきます。

いま子育て中の同級生、富本牧子さんに、
「ぜひ観たいから芝居でやってくれないかなぁ」
と毎年、年賀状でお願いしているのですが、
やってくれるかなぁ。
何年先でもいいから、ホントに、やってほしい。

富本さんの二人芝居(「リタの教育」。有川博共演)を
観たことがあるんですが、
歳月が流れていく上にセリフの多い芝居で、
着替えと出入りが多くて大変そうでした。
*観た時の感想ありました。リンク先からたどってください。
これもそうなのかな。

今回は
本の紹介というより
思い出話ですね(^^;)。
こういう書き方ならいくらでも書けそうです(笑)。

開設記念に「徹子の部屋」で語る

2010年3月18日 木曜日

♪ルールルルルル ルールルルルル ルールールール ルルッル…

徹子:みなさまこんにちは、徹子の部屋です。
   本日のお客様は、お小さいころから活字を読むのが大好きで、
   このたび本の紹介と感想のブログ「乱れ読み記」を開設され
   たぱぐさんです。
   きっかけやねらいをお訊きしたいと思います。

ぱぐ:こんにちは、この部屋には2回目の出演ですね。よろしくお
   願いします。

徹子:前回より顔色がよくなられたみたい。
   さて、今日のお召し物はグリーンと紺のチェック柄のフラン
   ネルシャツに、えんじ色のアーガイルセーター、グレーのパ
   ンツスタイル、黒いショーツブーツです。

ぱぐ:前回は少しよそ行きでしたが(笑)、今回は普段着でまいり
   ました。

徹子:パンツスタイルの方が、リラックスなさってる感じがします
   よ。

ぱぐ:自分を女だと意識したことがあまりなくって(笑)。10年
   も女子校に行ったんですが、中高の同級生に「おじさま」と
   いうあだ名を奉られたことがあります(笑)。

徹子:まぁ、「おじさま」!(爆)
   前から書いていらっしゃる「天衣無縫」というブログでも、
   <日記><食べたり呑んだり>の次に<読書>が多いそうで
   すが、改めて本のブログを作ろうと思われたのは?

ぱぐ:「天衣無縫」はまず、文章稽古のために作ったブログですの
   で、ネタは何でもありなんです。本のことも出てきますが、
   だいたいは日記の中でちらっと触れている程度。
   うちのダンナはパソコンソフトの開発をやっている技術者で、
   設定などはおまかせなんですが、前から「書評ブログを作っ
   てみたらどうなの?」と言われていたんですよ。

徹子:ご主人のお勧めということですか。

ぱぐ:直接はそうですね。
   書くのも好きなので、じゃあ思い切ってやってみようかな、
   と。書評だと大げさだから、本の紹介と感想のブログにしま
   した。

徹子:もともと書評を読むのがお好きだったそうですね。

ぱぐ:目についた本を買ったり借りたりすることもありますが、書
   評を読んで面白そうだと思った本は手帳にメモしておいて、
   手に入れることにしています。

徹子:特にお好きな書評はありますか?

ぱぐ:ひとつの字数がたっぷりあって、書評委員があまり変わらな
   い、毎日新聞の書評欄(今週の本棚)は毎週楽しみにしてます。
   
   個人名を挙げると、2002年に亡くなった<書評の名手>向井
   敏(さとし)さんや、40年も(!)書評を手がけておられる
   丸谷才一さん、それに英米文学専攻の学者で小説を読むのが
   大好きな若島正さんの書評は手に入る限り読んでます。

*若島正『殺しの時間―乱視読者のミステリ散歩―』(2006、バジリコ)

徹子:なぜか男の方ばかりですねえ。何か琴線に触れるところがお
   ありですか?

ぱぐ:司馬遼太郎や中島敦も好きだったりするので、男性的な?文
   章が好みなのかなぁ。
   女性でも幸田文とか向田邦子、最近の人なら米原万里など、
   歯切れのいい文章が好みです。

徹子:書評は文章の書き方のお手本にもなるとか。

ぱぐ:そうですね。いかに読者を読みたい気持にさせるか、文章の
   芸が見せどころです。
   「天衣無縫」を書くときの参考にもなっていると思いますよ。
   ネットでオープンに書いているということは、大げさに言え
   ば世界中の方が読む可能性があるっていうことですよね。

徹子:全世界相手のブログですか(笑)。

ぱぐ:ふだんはそこまで意識しないで、書きたいように書いてます
   けど(笑)。

徹子:ぱぐさんは新しい本にはあまり手が伸びないということです
   が、書評で知って読みはじめた本はありますか?

ぱぐ:インド系のアメリカ人女性作家、ジュンパ・ラヒリの短編集
   『停電の夜に』(新潮文庫)は、向井敏さんの書評<低声
   (こごえ)で語る人生のさまざま>で知ったんだと思います。
   旅のお供にも本は欠かせませんが、近江への一人旅で瀬田に
   泊まったとき、読むものがなくなって町の本屋に入ったんで
   すよ。さんざん迷ってから「そういえば、これ書評で見たなぁ」
   と思って買いました。

*向井敏『背たけにあわせて本を読む』(2002、文藝春秋)
*ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』
 (小川高義・訳、2000、新潮文庫。米国での原著刊行は1999)

徹子:実際に読んでみていかがでした?

ぱぐ:シングルルームのバスタブに浸かりながら読んだのを今でも
   覚えていますが、みっけものをした気分でした。ラヒリの小
   説はごはんがおいしそうなんですけど、細部の描写が行き届
   いています。
   それからお気に入りになって、第2作の長編『その名にちな
   んで』(新潮文庫)、第3作の短編集『見知らぬ場所』(新
   潮クレストブックス)と今まで出たものはみんな読んでます。

*ジュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』
 (小川高義・訳、2007、新潮文庫。米国での原著刊行は2003)

*ジュンパ・ラヒリ『見知らぬ場所』
 (小川高義・訳、2008、新潮クレストブックス。米国での原著刊行も2008)

徹子:『その名にちなんで』は映画もご覧になったとか。

ぱぐ:ミーラー・ナーイルという女性監督の作品です。本だと想像
   するしかない、カルカッタの風俗が映像でわかっておもしろ
   かったですね。

*映画DVD『その名にちなんで』(2006、米国。日本での公開は2007。DVD発売は2008)

   あと、ほんとうは原文でも読めるといいんですが、日本語以
   外は不得手なので、翻訳者の腕にも注意してます。へんな文
   章だと内容に関係なく腹が立ってきて、読めなくなるので。
   ラヒリの翻訳は小川高義さんという方が手掛けていらっしゃる
   んですが、とても読みやすい。

徹子:本の話になると、ぱぐさんの目が輝きますね(笑)。ほんとう
   にお好きなんだということがわかりました。

ぱぐ:丸谷才一さんが「文章の名手が大好きなものについて書けばよ
   い随筆集ができる」と書いていらっしゃるんですよ。
   文章についてはまだ修行中(笑)ですけど、もともと小説より
   はエッセイが好きなので、数をこなしていくうちに手応えを感
   じられたら、何よりです。

*丸谷才一『蝶々は誰からの手紙』(2008、マガジンハウス)

   あと、読者のみなさんと本についておしゃべりする場になるの
   も楽しみにしています。

徹子:どんなものができるのか楽しみにさせていただきます。
   今日はありがとうございました。

ぱぐ:こちらこそ、長々と失礼いたしました。