♪ルールルルルル ルールルルルル ルールールール ルルッル…
徹子:みなさまこんにちは、徹子の部屋です。
本日のお客様は、お小さいころから活字を読むのが大好きで、
このたび本の紹介と感想のブログ「乱れ読み記」を開設され
たぱぐさんです。
きっかけやねらいをお訊きしたいと思います。
ぱぐ:こんにちは、この部屋には2回目の出演ですね。よろしくお
願いします。
徹子:前回より顔色がよくなられたみたい。
さて、今日のお召し物はグリーンと紺のチェック柄のフラン
ネルシャツに、えんじ色のアーガイルセーター、グレーのパ
ンツスタイル、黒いショーツブーツです。
ぱぐ:前回は少しよそ行きでしたが(笑)、今回は普段着でまいり
ました。
徹子:パンツスタイルの方が、リラックスなさってる感じがします
よ。
ぱぐ:自分を女だと意識したことがあまりなくって(笑)。10年
も女子校に行ったんですが、中高の同級生に「おじさま」と
いうあだ名を奉られたことがあります(笑)。
徹子:まぁ、「おじさま」!(爆)
前から書いていらっしゃる「天衣無縫」というブログでも、
<日記><食べたり呑んだり>の次に<読書>が多いそうで
すが、改めて本のブログを作ろうと思われたのは?
ぱぐ:「天衣無縫」はまず、文章稽古のために作ったブログですの
で、ネタは何でもありなんです。本のことも出てきますが、
だいたいは日記の中でちらっと触れている程度。
うちのダンナはパソコンソフトの開発をやっている技術者で、
設定などはおまかせなんですが、前から「書評ブログを作っ
てみたらどうなの?」と言われていたんですよ。
徹子:ご主人のお勧めということですか。
ぱぐ:直接はそうですね。
書くのも好きなので、じゃあ思い切ってやってみようかな、
と。書評だと大げさだから、本の紹介と感想のブログにしま
した。
徹子:もともと書評を読むのがお好きだったそうですね。
ぱぐ:目についた本を買ったり借りたりすることもありますが、書
評を読んで面白そうだと思った本は手帳にメモしておいて、
手に入れることにしています。
徹子:特にお好きな書評はありますか?
ぱぐ:ひとつの字数がたっぷりあって、書評委員があまり変わらな
い、毎日新聞の書評欄(今週の本棚)は毎週楽しみにしてます。
個人名を挙げると、2002年に亡くなった<書評の名手>向井
敏(さとし)さんや、40年も(!)書評を手がけておられる
丸谷才一さん、それに英米文学専攻の学者で小説を読むのが
大好きな若島正さんの書評は手に入る限り読んでます。
*若島正『殺しの時間―乱視読者のミステリ散歩―』(2006、バジリコ)
徹子:なぜか男の方ばかりですねえ。何か琴線に触れるところがお
ありですか?
ぱぐ:司馬遼太郎や中島敦も好きだったりするので、男性的な?文
章が好みなのかなぁ。
女性でも幸田文とか向田邦子、最近の人なら米原万里など、
歯切れのいい文章が好みです。
徹子:書評は文章の書き方のお手本にもなるとか。
ぱぐ:そうですね。いかに読者を読みたい気持にさせるか、文章の
芸が見せどころです。
「天衣無縫」を書くときの参考にもなっていると思いますよ。
ネットでオープンに書いているということは、大げさに言え
ば世界中の方が読む可能性があるっていうことですよね。
徹子:全世界相手のブログですか(笑)。
ぱぐ:ふだんはそこまで意識しないで、書きたいように書いてます
けど(笑)。
徹子:ぱぐさんは新しい本にはあまり手が伸びないということです
が、書評で知って読みはじめた本はありますか?
ぱぐ:インド系のアメリカ人女性作家、ジュンパ・ラヒリの短編集
『停電の夜に』(新潮文庫)は、向井敏さんの書評<低声
(こごえ)で語る人生のさまざま>で知ったんだと思います。
旅のお供にも本は欠かせませんが、近江への一人旅で瀬田に
泊まったとき、読むものがなくなって町の本屋に入ったんで
すよ。さんざん迷ってから「そういえば、これ書評で見たなぁ」
と思って買いました。
*向井敏『背たけにあわせて本を読む』(2002、文藝春秋)
*ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』
(小川高義・訳、2000、新潮文庫。米国での原著刊行は1999)
徹子:実際に読んでみていかがでした?
ぱぐ:シングルルームのバスタブに浸かりながら読んだのを今でも
覚えていますが、みっけものをした気分でした。ラヒリの小
説はごはんがおいしそうなんですけど、細部の描写が行き届
いています。
それからお気に入りになって、第2作の長編『その名にちな
んで』(新潮文庫)、第3作の短編集『見知らぬ場所』(新
潮クレストブックス)と今まで出たものはみんな読んでます。
*ジュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』
(小川高義・訳、2007、新潮文庫。米国での原著刊行は2003)
*ジュンパ・ラヒリ『見知らぬ場所』
(小川高義・訳、2008、新潮クレストブックス。米国での原著刊行も2008)
徹子:『その名にちなんで』は映画もご覧になったとか。
ぱぐ:ミーラー・ナーイルという女性監督の作品です。本だと想像
するしかない、カルカッタの風俗が映像でわかっておもしろ
かったですね。
*映画DVD『その名にちなんで』(2006、米国。日本での公開は2007。DVD発売は2008)
あと、ほんとうは原文でも読めるといいんですが、日本語以
外は不得手なので、翻訳者の腕にも注意してます。へんな文
章だと内容に関係なく腹が立ってきて、読めなくなるので。
ラヒリの翻訳は小川高義さんという方が手掛けていらっしゃる
んですが、とても読みやすい。
徹子:本の話になると、ぱぐさんの目が輝きますね(笑)。ほんとう
にお好きなんだということがわかりました。
ぱぐ:丸谷才一さんが「文章の名手が大好きなものについて書けばよ
い随筆集ができる」と書いていらっしゃるんですよ。
文章についてはまだ修行中(笑)ですけど、もともと小説より
はエッセイが好きなので、数をこなしていくうちに手応えを感
じられたら、何よりです。
*丸谷才一『蝶々は誰からの手紙』(2008、マガジンハウス)
あと、読者のみなさんと本についておしゃべりする場になるの
も楽しみにしています。
徹子:どんなものができるのか楽しみにさせていただきます。
今日はありがとうございました。
ぱぐ:こちらこそ、長々と失礼いたしました。