松阪・斎宮紀行(2000.6.2〜4)


5.<国宝級の埴輪を地元に残そう!>

 「松阪商人の館」を出たあと、並びの「三井家発祥の地」へ行く。立派な門構えになっている。中には入れない。
 私は東京の大手町で勤めていたので、三井家の越後屋呉服店、今の三越百貨店の本店にはよく行った。
 はじめて行ったときには、新宿のターミナルデパートしか知らなかったから1階の吹き抜けにびっくりした。日本橋のデパートは、なくなってしまった東急日本橋店を含め、高島屋なども歴史があるから建物にもそれぞれ特徴がある。
 越後屋呉服店の看板は両国の江戸東京博物館で見ることができる。

 「松阪もめん手織センター」に行く。平日なのでやはりお客がいない。松阪のもめんが江戸の町で大流行したことは前回も書いたが、特徴は縦縞、つまりストライプということ。ここは織物のデモンストレーションのほか、お財布とかきんちゃく袋などの製品も売っていた。予算に限りがあるので、見学のみ。

 壁に新聞記事が貼ってあった。
 「松阪に残そう船形埴輪」という見出しで、5月26日付けのもの。松阪市の宝塚古墳1号墳から出土した国宝級の埴輪(写真を見るとたしかに立派なもの)を、国や県に持って行かれるのではなく、地元の松阪市に置こうという市民運動があるらしい。町おこしの一環とも思われる。
 8月28日までに、82800人(「はにわ」にちなんだ語呂合わせ)の署名を集めるのが目標だそうだ。市の公式サイトを見ると、「松阪市文化財センター」というのがあるらしいので、そこに展示することになるのだろうか。
 一度、4月14日から17日まで同センターで公開されたのだが、7月20日から8月20日まで再度公開されるという。夏休み向けということだろう。
松阪市ホームページ(展示情報)
毎日スクールネット(小学生向けの学習記事・写真と説明あり)

 この旅行のあと、「平等院展」を観るために上野の東京国立博物館に行った。久しぶりだったのでほかの展示品も見て回ったのだが、各地の土器がたくさん並んでいる。教科書で見たことがある人物埴輪なんかもあったが、東京とか県庁所在地に行かないと、地元のものが見られないというのではたしかに納得できないだろうなぁ、と複雑な思いで眺めた。
 最近はいろんなところで画期的な遺跡や遺物が発掘されているから、よそでもこういう例はあるだろう。
(2000.7.1記)
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