なんといっても『から騒ぎ』!
(3)関西大震災と『から騒ぎ』


ブラナーはもともと演劇人ですが、子どものころからハリウッド映画が大好きだったようで、『から騒ぎ』にもその影響が強く感じられます。

さて、1994年の暮れ、ブラナーは自身の製作・出演した『フランケンシュタイン』の宣伝のために来日しました。たった1日半の滞在でしたが、30以上のインタビューをこなすというハードスケジュールだったようです。

その約2ヶ月後、関西大震災が起こりました。関西のすべての映画館は大きな被害を受け、何ヶ月も営業再開できないでいました。
その中で比較的早く修復作業を終えた朝日シネマが被災者のために無料上映会を行うことになり、『から騒ぎ』が一日上映されることになりました。
そのとき劇場の方から、
”内外の映画人より一言メッセージを”
という依頼があり、『から騒ぎ』と『ピーターズ・フレンズ』を配給したセテラ・インターナショナル代表の山中陽子さんは、ブラナーに手紙を書いたのだそうです。

ブラナーは『世にも憂鬱なハムレットたち』の撮影準備に追われる忙しいさなかだったのですが、翌々日には彼らしいメッセージが届いたそうです。

映画に行かれる神戸の皆さんへ。

私たちは平和と幸福と、地震による大きな悲劇よりの一日も早い回復を祈ります。
私達の思いはあなた方と共にあります。
気持ちを強く、勇気を持ってください。

   ケネス・ブラナーと『から騒ぎ』スタッフ一同より。


この手紙はしばらく映画館の壁に他の映画人のメッセージと共に掲示されていたということです。
(参考:山中陽子「夢を現実にする人、ケネス・ブラナー」
『世にも憂鬱なハムレットたち』プログラム所収)

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