2006/1/25 水曜日

嬢ちやん

Filed under: 散文・文章 — pug @ 10:15:50

親譲りのマイペースで小供の時から損ばかりしてゐる。

小学校に上がつたばかりの時分、お帰りの時間になつてまだ給食をもぐもぐ食べてゐた事がある。担任の本荘先生から母に御注進が行き、この話は長く母の嘆くところであつた。

犬が好きだつたが団地住まひで飼ふことは許されぬ。太田さんといふ同級生の家に白い犬がゐて、その犬に逢ひたいばかりにその家によく行つた。隠れん坊しても、その犬と遊ぶのに夢中で応接間の椅子の後ろにゐるだけだから、すぐ見つかつてしまふ。友達からはえらく不評であつた。

四年から私立の小学校に移つたのだけれど、こちらでも相変はらずのマイペース。友だちと話すよりは本を相手にする方が好きで、ちよつかいを出す男子の相手にはならず、本を読み続けてゐたといふ。
休み時間に図書館で読むのに夢中になつて居たら、授業がとつくに始まつてゐるのに気付かず、べそをかきながら教室に戻つたことがある。図書カードは年間貸出記録を大幅に更新し、図書館のK先生を大いに喜ばせた。

中学に上がつて、一年上のH先輩に憧れ、何う見ても運動神経が無いに等しいのに、その人が入つてゐる卓球部に入部した。小さな球をすばしこい動きで追つ掛けるのは運動神経の良い人でもかなりの苦労である。運動神経も反射神経も鈍いのにそんな競技を始めてしまつたものだから、ちつとも上手にはならなかつた。
夏と春に学校で泊まり掛けの合宿がある。ここで或る時、百連続ラリーの義務が課された。いやな予感がしたが、やらなくてはならぬ。相手をしてくれたのは四年上のMさんという先輩で、かなりの名手。しかし何度やつてもラリーは百回続かず、申し訳ないのと焦りでびつしよりになつた。結局できたのか何うか、記憶に無い。

ラケットを振る姿に妙に力が入つてゐる。素振りから直す方が良からうといふので、一年上のIさんが早朝練習をやつてくれた。先輩の振る姿を懸命に真似たが、マイペースな振り方は変はらなかつたと記憶する。

うまくは成らず試合にも勝てないので、いつも
「辞める方が、自分のためにも、団体戦のレベルを押し下げてゐるから、みんなのためにも良いのではないか?」
と悩んでゐたが、結局高校二年の「引退の時期」まで居続けてしまつた。

卓球部の同級生で最後まで残つたのは全部で六人。その中の一人は親友になつたし、あれから二十年以上経つた今でも、卓球部の同級生は年に一度くらゐ集まる仲なので、良かつたのかも知れぬ。卓球部に入らなければ、たぶん本ばかり読む視野の狭い嬢ちやんに成つてゐた。

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