2008/9/26 金曜日

「ダメージ」再見

Filed under: 未分類 — ぱぐ @ 8:34:40


先日も書きました「ダメージ」、DVDを久しぶりに再見しました。

えーと、下ネタ系は苦手なので(笑)メモにします。
ネタばれがどっぷりあります。未見の方はご注意ください。

*アンナ・バートン(ジュリエット・ビノシュ)について
 美人ではない、中性的(耳を出したショーットカット)、どちらかといえば童顔、黒い服が好きで黒髪、出るところが出てる感じではない、→この、「いかにも男を破滅に招く悪女タイプではない」ところが、あとで効いてくる。

*スティーブン(ジェレミー・アイアンズ)について
 派手な縦縞のシャツが色っぽい。五十男が二十歳の若者みたいに恋にどっぷりになった悲劇。それまで経験してない悲しさ、行き着くところまで行ってしまう。「フランス軍中尉の女」という映画でもこういう役柄らしいので、観たい、原作も読みたい。

*いま、三木卓『北原白秋』(2005、筑摩書房)という評伝を読んでいるところ。白秋は隣人の妻と深い関係になって姦通罪で未決監に入れられるという有名な事件を起こした。『桐の花』という歌集にその時の歌が収められている。白秋は若くて独身の時の出来事だが、社会の規範を破って生=性を味わい尽くした、というところに「ダメージ」と似たものを感じないか。

*スティーブンの役所のおばさん秘書の反応がおもしろい。差出人不明の郵便物が送られてきたあと急に外出するとか、何かあるな、と勘のいい人ならわかるはず。

*ルイ・マル監督はサリー(スティーブンの娘、マーティンの妹)を10代前半に設定したが、つまり男女関係について未知の年頃。連れてくるボーイフレンドが鈍くさい感じなのが笑えた。彼女はもう少し大きくなってから、「あ、あれはお父さんの言い訳だったんだ」とか「結婚って何だろう?」と考えたりするようになるんじゃないか。
アンナがダメージを受けたのは15歳の時だが、サリーは12,3歳かな?きっとダメージ残りますね。

*スティーブンの妻、イングリッドについて
 色白でブロンド、美人度ならイングリッドの方がアンナより上。だから、嫌っている(最初から嫌っていた)アンナに夫がずぶずぶ射抜かれたことを知ったときの衝撃が大きい。「あたしの息子を返して!」という「マーティン、マーティン」と呼び続けるところが切なかった。

*アンナがアパートの部屋で付けている銀色の大きなネックレス。無機質なもの。スティーブンと寝る時にも付けていて、なんだか剥き出しな感じで気になった。

*マーティンが死んだあと、アンナは静かに涙を流す。しかし、アパートからは無表情のまま、見物人の間をすり抜けてゆく。こわい。

*マーティン、アンナ、スティーブンを写した写真。それぞれの視線の行く先が関係を象徴している。左側のマーティンは真ん中で正面のカメラを見つめるアンナを見守っている。右側のスティーブンは左側の遠くの方に視線がさまよっている。

*DVDについていたルイ・マル監督のインタビューより。
 「快楽というより、痛みを伴う感情のぶつかり合いを映像にしたかった」
 →そういえば、あの行為は快楽をむさぼっている感じではなかった。ものも言わずにいきなりそういう関係になっちゃうから、本能を満たすためやむなくこうしました、とスティーブンが無言で語っているような……

……
<きのうの夕飯>
塩鮭、ごぼうと人参と長葱の味噌煮、ひじき・人参・玉葱・油揚げの煮物、キャベツとブロッコリーとカニかまのサラダ、じゃがいもと玉葱のみそ汁。家人が「浦霞」本醸造(宮城の酒)を呑んでいたので少しもらう、麦茶

4件のコメント

  1. こんにちは
    ほぉ、なかなか濃ぃい作品ですねー。感想から感じた作品のイメージはドロドロしているが、なんだか乾いている感じ。とりあえず一度あたってみます。

    夕食の特徴 回答 2回目:
    いまどきファッション雑誌風に言うと…
    「一ヶ月 グルグル着まわし術」
    こんなんでどうでしょう?

    コメント by Jilsovao — 2008/9/26 金曜日 @ 22:51:05

  2. ぱぐさんの感想中には言及されてませんが
    一瞬にして恋の陥穽に落ち人生を棒に振ってしまう
    いわば「アホか、アンタは」中年男の話を
    陳腐な「アホか、アンタは」映画にしなかった
    功績は私思うに世間の片隅でひっそりと暮らす、
    あの陽だまりの中を長髪サンダル履きでベーコンの包みを
    ぶら下げて石畳を上る主人公のあの姿まで映し撮ったこと。
    あれがあってこそ~最後のモノローグ~空港での
    再会(彼だけからの)~そして○○○の女だった~
    写真のドアップに繋がる・・二重三重の伏線が
    あそこで結実。そして女を殺さないで
    普通に生かしておく怖さ。
    (米映画ではこうはいかない)
    ルイ・マル、実に巧い。

    写真を見つめる主人公の表情をぱぐさんは
    どう感じましたでしょうか?
    私にはあの表情は決して落胆とかあきらめには
    見えませんでした。わずかに至福の表情まで
    かいま見れたのですが。

    女に翻弄される役が抜群にうまいJ・アイアンズ
    作品としては私的には「M・バタフライ」と
    リメイクの「ロリータ」あたりも興味深い。
    ただ「M・バタフライ」はジョン・ローン女装に
    “つまずく”と全く映画に入っていけないという
    下馬評もあり。(笑)
    内容的には違いますが「運命の逆転」や
    「戦慄の絆」も超オススメです。

    コメント by viva jiji — 2008/9/27 土曜日 @ 8:20:19

  3. >Jilsovaoさん

    どろどろした内容なんですけど、撮り方がね意外にさらっとしている、かな。わたしはもう何度も見ているから「ほんと悪い女だよねー」と突っ込んじゃうんですが(笑)。
    原作もいいですよ。合わせてオススメ。ジョセフィン・ハート『ダメージ』です。

    夕食のこと。
    まあ、それは当たってます。塩鮭が多い(笑)。
    あと欠けているものがあるでしょう……

    コメント by pug — 2008/9/27 土曜日 @ 11:08:30

  4. >viva jijiさん

    ああ、最後のことを書きませんでしたね。たしかにあれは大事。
    あんなに思い切って何もかも捨てられるかしら、とも頭の片隅では思うんですが。もともと世俗的な野心がない男だから、ではかもしれません(それでいて出世するんだからおもしろい)。

    あの視線はどこかこの世でないものを見つめている感じがしました。
    和泉式部に「もの思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂<たま>かとぞ見る」という有名な歌があるんですが、それを思い出しました。
    スティーブンは恋に狂う経験が50までなかったわけでしょう?魂が抜け出てしまうほどの物思いになりますよね。
    幸せだったのかな、やっぱり。生の実感を得られたのだろうから。

    「ロリータ」は一度CS放映で観ました。ほかのは未見です。機会がありましたら観ますね。

    コメント by pug — 2008/9/27 土曜日 @ 11:18:19

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