2008/1/29 火曜日

中丸美繪『杉村春子』と杉村の舞台3つ

Filed under: 未分類 — ぱぐ @ 12:17:43

以下は昨年10月に書いたものです。

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杉村春子の舞台は、最晩年に有名な「女の一生」を観たことがあるだけだ。そのころは、勤め先のいろいろな問題が見えてきたり、母との対立が最高潮を迎えていたりしたので、いろいろ考えながら観たと思う。

この間、念願の中丸美繪(よしえ)『杉村春子 女優として、女として』(文春文庫)を読んだ。芝居することに自分の人生を捧げた人、ということでちょっとほかにはいない存在ですね。
同じ文学座にいた長岡輝子とは対照的なところがある。杉村は演出はやらなかったし、いろんな恋(結婚は二回、うち一回は未入籍)もすべて自分の芝居の肥やしにしてしまったところがある。

わたしは長岡輝子も好き。一般に知られるようになった「おしん」放映時は高校生だったが印象的だったし、こどものころおばあさんから教わった岩手の言葉による宮沢賢治の朗読会をやっていたのを何回か聴きに行ったことがある。なんとも言えない暖かみがあって、疲れているときに聴くといい気持ちになって帰ってくることができた。『セロ弾きのゴーシュ』のCDが手元にあります。

2007年春に杉村没後10年の記念番組をNHK-BSでやっていて、番組のあと亡くなった北村和夫の話が面白かった。その他に芝居を3つ放送した。テネシー・ウィリアムズ「欲望という名の電車」、三遊亭円朝原作「怪談牡丹灯籠」、飯沢匡<ただす>「続・二号―騒がしいウェディングマーチ―」の3本。

「欲望という名の電車」はよく知られた芝居で、篠井英介が原作者の指定に逆らい男優として初めて主人公ブランチを演じたことが評判になったから観た方もおられるだろう。わたしはああいう、人を追いつめていくようなものを観ると苦しくなってくるから、最後までじっと観ていることができなかった。杉村の当たり役の一つ。

「怪談牡丹灯籠」は落語でも有名な話なのだけど、聴いたことがない。杉村の早変わりが楽しい。これも怖い話ではあるのだけど(好きなのに一緒になれなかったから幽霊として出てくる娘と付き添いお女中の話などがつながって場面展開する)、どこかユーモアがあるからか、楽しかった。着物姿がよく合っているし。

「続・二号―騒がしいウェディングマーチ―」は喜劇。杉村は喜劇は自分にはできない、と言っていたという。昭和40年代くらいが舞台で、政治家の二号さんだった女が自分の娘の息子(孫)の結婚式に臨む、という話。とんでもなく派手な結婚式なのが笑えるのだが、杉村は「女の一生」の作者だった森本薫の愛人だったことがあり(本人が公言していたので生前から有名な話)、結婚や出産は芝居をするのに足かせだと思っていたそうなので、かなり複雑な心境で演じたのではないかしらん。ホテルマネージャー役の江守徹がはつらつとしていて、ほーこんな良い演技をする人だったのか、と見直しました。

「怪談牡丹灯籠」がいちばん面白かった。古典好きのせいかもしれないし、新派の趣向を取り入れた芝居の作りが気に入ったのかなとも思う。落語だと誰がいいのかなぁ。聴いてみたい。

最後に同時代ということで杉村春子と神谷美恵子の接点を探ってみると、太平洋戦争終了直後、日本がGHQの占領下に入ったときに、神谷美恵子は父前田多門が文部大臣になったので、その次の大臣になった安倍能成の時まで、CIE(民間情報教育局)で通訳や書類の翻訳をやっていた。杉村はそのころCIEの幹部だったエドワード・E・カネシマという年下の男とつきあっていたという。

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