小林誠さん・益川敏英さんの講演会@多摩六都科学館(3)
二人目の講演者は1981年生まれとお若い中山浩幸氏(KEK Belle-Ⅱグループ助教)。
KEKで加速器を使って実証実験をしている人です。
KEK加速器を使ってBelle実験で小林・益川理論が実証されたのは大成功だが、まだまだ解明できない宇宙の謎がある。
(ぱぐ注:論文執筆は1973年。KEKのBファクトリー建設開始が1994年、実験開始は1999年、実験成功は2004年)
素粒子物理学はミクロの世界の成り立ちを考えるものでもあるが、宇宙の成り立ちを考える時にも関わってくる幅の広い学問である。
素粒子物理学には、理論と実験の分野があり、実験の分野は粒子を飛ばす加速器を作るグループと、衝突した粒子を観測するグループとがある。中山氏は観測するグループ。
実験には誤差がつきものですが、誤差を減らしてできるだけ精確に測定することが必要。
新しい理論の発見に必要なのは、新しい理論と現在の理論のずれがどうして起きるのか、と考えること。
で、小林・益川理論の実証に作られた装置の40倍の精度の加速器が2014年に完成予定。これは世界一のものを目指している。
実験内容は電子と陽電子を衝突させて中間子を発生させることだが、女子集団と男子集団を衝突させると恋が発生するという例がわかりやすい(会場でもよくわかったという雰囲気になりました(笑)。
40倍の精度のものを作るのにどういう工夫をしているか、4択クイズが出ました。
1.粒子の数を増やす 2.ビームのエネルギーを高くする 3.ビームを細く絞って衝突させる 4.衝突しなかったビームを再利用する。
正解は3。KEKBより20倍細いビームを使うとのこと。
1は2倍が限界、2はエネルギーを変えられない、4リング状の施設だとチャンスがあるが、直線型では一発勝負。いずれにしてもあまり衝突しないので確率が低い。ということで×。
ビームの細さは60ナノメートル、髪の毛の1000分の1の太さ(!)。
7種類の粒子を測定するので、7つの検出器が付いている。
世界中の研究者たちが集結して装置を作っている。21カ国500名。2016年実験開始の予定。
いろいろな国の人が一緒にやると、目から鱗が落ちるようなことがたくさんあって面白い。
(ぱぐ注:欧州のCERNも各国の人が集まって研究しています。日本の研究者も参加)