2006/2/11 土曜日

夏瀬佐知子『月に吠える ふり』より

Filed under: 未分類 — pug @ 23:05:03

ごーふる・たうんBBSで知り合いになった、どんぐりこと夏瀬佐知子さんが昨年末、初めての歌集を出した。

お目にかかったのは五回ほどだろうか。いつも、目立たないように目立たないようにと気を遣っているような、そんな人柄。

最近は現代短歌に関わりを持たなくなったので、どんな短歌を作っているのかよく知らなかった。
おととしのマラリー(マラソン・リーディング、短歌・俳句・詩・川柳などいろいろな詩の朗読会)で座布団に座って自作短歌連作を読む姿を拝見したのが、初めてだったかも知れない。

昨年はマラリーがなかったしネットも休んでいたから、歌集が出た、と聞いたのがネットでの再会。
おめでとうございます、とごーふるのポストに書き込んだのが縁で、頂くことになってしまった。ありがとう。

……
『月に吠える ふり』というのは、同名の連作から来ている。そして、核になる歌はこれだ。

連携の絶妙期もあったから長すぎる夜は月に吠える ふり

この一字あけが、このひとの短歌のリズムを象徴している気がする。一気呵成ではなく、途中で息をふっと吸い込んでいるような。一字あけだけではなく、切れ字が多いのもそうだ。

連作については感想がうまく書けない。
読みながら○を付けた歌を順不同で挙げてみる。

(1)をみなとか話し始める をのことか 昔話の決まりですから

(2)三日月は下弦でしたね 桜しか見ていなかった そうですか そう

(3)成り行きで君とコンビを組むことも何かの縁だみんなコンビだ

(4)かさぶたは放っておくのがいちばんの治療法です 乾かしましょう

(5)一年が経っていました長いのに驚きました慣れないもので

そういえば、読み上げるときも独特のリズムがあったな、と思い出す。

今挙げた5首を見ていて気がつくのは、子音の繰り返しが多いな、ということ。

(1)をみなとか話し始める をのことか 昔話の決まりですから
 wominatoka hanashihajimeru→wonokotoka→mukashibanasinokimaridesukara

(2)桜→そうですか→そう
sakura→soudesuka→sou

(3)コンビ→コンビ

(4)かさぶた→乾かしましょう
kasabuta→kawakashimashou

(5)経っていました→長いのに→驚きました→慣れないもので
tatteimashitanagainoni→odorokimashitanarenaimonode

歌集全体に流れるのは悲しみの感情だと思うのだが、相手に向かって切り込むというよりも、つぶやきであるのが共感を呼んだ。ぼやきでなく、つぶやき。

……
『月に吠える ふり』夏瀬佐知子歌集(風媒社、2005)

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