2014/1/15 水曜日

2014.1.11「神谷美恵子生誕100年 記念の集い」@岡山市民会館(3)

Filed under: 神谷美恵子,読書,日記,旅行,散文・文章 — ぱぐ @ 21:40:02

すみません、なんと3回目の前置きです。

アメリカ留学中もいろいろ迷いがあって時間が掛かっていますが、医学に転校することを決め(父前田多門の許可を得るまで時間が掛かった)、アメリカで少し医学を学んだあと、太平洋戦争前に帰国し、東京女子医学専門学校(現在の東京女子医科大学)に編入、日本の医師の資格を得ます。

ハンセン病のために働きたい、という希望があり在学中の昭和18=1943年に岡山県にある長島愛生園というハンセン病療養所に見学に行っています。
ただ家族の反対などもあり、専攻を精神医学にすることに決め、東京帝国大学医学部の精神医学教室に入りました。当時は戦争末期で男性医師は出征している者が多く、医師の数が足りず空襲もあったりしてたいへんだったそうです。

戦後は父前田多門が文部科学大臣に任命されたので、当時の駐留軍GHQ(アメリカ軍)との交渉のために語学の手伝いをしています。六三三制などがこのときできています。前田多門辞任後も次の大臣、安倍能成(哲学者、夏目漱石の弟子の一人)に請われて引き続き文部科学省勤務。

そのあと生物学者の神谷宣郎(かみや・のぶろう、1913-1999)と結婚、当時宣郎氏は東京大学の講師でしたが後に大阪大学理学部の教授になったので、美恵子も一緒に関西住まいとなる。

まだ紆余曲折がありますが、長島愛生園に勤務することができるようになったのは昭和32=1957年、43歳の時です。まず非常勤職員として週末を中心に神戸市の自宅から5時間余り電車と船を乗り継いでの勤務でした。
精神科の医師として治療を行いながら面接やアンケートで調査を実施。このとき、まだハンセン病療養所では国の政策として「絶対隔離」が行われていたので、家族や郷里と切り離されてここに入った人が多い。年少のころの入所だと、その当時はよくわからなくてあとでなってから事情を知るという人もいたはずです。

美恵子自身も若いころに自分が将来どうしたらいいのか、という悩みを抱えていたこともあって「生きることの意味、生きがい」を探していたところがあったのですが、患者さんたちの話を聞いているうちに「生きがい」についてさらに深く考えるようになりました。これは後に『生きがいについて』(みすず書房、1966)という著書にまとめられます。
美恵子は西洋哲学の影響をかなり受けたので、そちらの考え方が強くなかなか手強い本ですが、興味のある方はどうぞ。

さてそろそろ「記念の集い」のレポートに入ります。おいおい注釈を挟みますので、神谷美恵子の経歴よりも考え方、何をしようとしていたか、ということにご注目ください。

2014.1.11「神谷美恵子生誕100年 記念の集い」@岡山市民会館(2)

Filed under: 神谷美恵子,読書,日記,旅行,散文・文章 — ぱぐ @ 21:38:48

前置きが長くてすみません。
まだ神谷美恵子(当時は前田美恵子、以下美恵子と書きます。敬称略)がハンセン病に初めて出逢ったところの話でした。十九歳の時です。
(1)の記事のハンセン病に関する社会的政治的な変動については、このあともずっと関係しますので頭に入れて置いてください。

若いころに大きなショックを受けるとその反動といったようなことが起こるのは誰しもあることだと思うのですが、美恵子はここでこの人たちのために働くことはできないか、と考え始めます。「病気」ではなく「病気になった人たち」のために、というところが大事なポイントです。

その後、自身が結核にかかっていったん治癒したものの(結核もまだ有効な治療薬が発見されていなく、静かな空気のきれいなところで過ごすのが当時の療養スタイル)、また再発するということがありました。ハンセン病と結核はすぐに死亡につながりにくい、というところに共通点があります。病んでいることが自分でよくわかり、ゆっくりと死に向かっていく、というのが現在の死因第一位のがんと違うところだと思います。

結核の治癒が認められたのが23歳。当時だと女性は結婚年齢が早めですからやや過ぎています。当時の家事は電化製品がないころで手作業が多い。疲れるのはまた再発のおそれもあるので主治医からは5年間は結婚するのはむずかしいい、という忠告を受けています。
津田塾では将来を嘱望されていてアメリカ留学を勧められた(創設者津田梅子1864-1929は7歳で最初の女子留学生の一人として渡米。帰国後華族女学校で教えるが再度留学後、津田塾を開いた)。

経歴だけ追っていっても神谷美恵子自身を知ることにはならないと思うので、人となりをわたしなりにまとめながら書いていますが、改めてむずかしいなあと思います。
もう一回、前置きを挟みます。よろしくおつきあいください。

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