2013/11/14 木曜日

風通しの良い言葉の使い方のために―丸谷才一さんのこと

下記のブログ記事は、文章として書き上がらないまま下書きのファイルに放り込んでいたのですが、1年経って全集が刊行開始(文藝春秋)されたことですし、これから丸谷才一を読む人の何か参考になるかもと思って、さらすことにします。メモのままで申し訳ありません。
なお、全集刊行開始を期に新しいツイッターまとめ「丸谷才一全集(文藝春秋、全12巻)刊行開始に際して考えたこと」)を作りましたので、そちらも合わせてどうぞ。随時更新中です。
ツイッターもこのブログに設置したいのですが、家人に頼まないとできないので、もうしばらくお待ちください。(2013.11.14記)

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先週土曜日、13日の早朝に作家の丸谷才一さんが亡くなった。享年87歳。

その知らせを聞いて、わたしが思ったことなどは、ツイッターで書いてあとでまとめた「作家・丸谷才一氏逝去報を受けて(平成24年=2012年10月13日)」ので、そちらを見ていただきたいのですが、ブログでは、文章としてまとめて書いてみようと思います。
(ツイッターのまとめは、ご自分がやってなくても読めます)

小説を書くための勉強をしようと思って英文科に進んだこと。
仕掛けのある小説
文明から見た文学評論
ジェイムス・ジョイスなどの翻訳を通じて、小説の書き方を学んだ。
若いころに取り寄せて読んだ英国の書評に感心して、日本での書評文化に貢献したこと(主に週刊朝日と毎日新聞)
ジャーナリズムについての合評会を雑誌「東京人」に連載したこと。
新古今和歌集から日本の古典を読み始めたこと。
万葉集よりも、古今和歌集から続く勅撰和歌集を、編集という面からも、日本の詩歌の最高峰としても再評価したこと。
『新々百人一首』(新潮社)に勅撰和歌集からの粋を集め、歌の読みについて文章の芸を尽くして書いたこと。
連歌への興味。最後は詩人(大岡信=まこと)、歌人(岡野弘彦)、小説家(丸谷才一)という3人で編んでいた。
エッセイの名手
挨拶についての本を、自身のスピーチ集という形で3冊の本にまとめたこと。

わたしが中学高校だった30年くらい前は、小林秀雄が「日本に批評を切り開いた第一人者」としての声望が高かった。父の本棚に『考へるヒント』という本があったので読んでみたけれど、自分の頭で考えるためのヒントにはなりにくかった。小林秀雄の批評は、何かをダシにして自分の言いたいことを書き付ける、という感じのもので、よく試験問題にも出た気がするけれど、元の文章がよくない上に、小林秀雄かぶれ(?)みたいな元文学青年・少女が問題を作ると、何が書いてあるのか、更にわかりにくくなるのであった。

丸谷才一などは、そのあとに出てきた世代なので、きっとああいう風通しの悪い文章への反発があったのだろう。
いろんなことを手掛けたけれど、その底には「風通しの良い言葉の使い方」を、読者への敬意を持って心掛けていたような気がする。
(2012.10月記す)
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