岩波少年文庫の50冊(選・宮崎駿)@世田谷文学館
昨日、世田谷文学館で表記の展覧会を観てきた。
子どものころ、岩波と福音館の子ども向けの本で育ったので、宮崎駿がどんな本を選ぶのか、興味津々だった。
創刊から60周年を迎えた岩波少年文庫の刊行部数は、現在までに400冊を超えているそうな。
その400冊余りの岩波少年文庫を実際に手にとって、3ヵ月かけて50冊を選んだという。
1冊1冊に、直筆で推薦文を万年筆で子ども向けに書いている。便箋は「崖の上のポニョ」のタイトルが下に書いてあったりして楽しい。字数は200字前後。
小学校1年で「アフリカ行き」をもらって以来、お話としては今までいちばん、わたしが愛読してきたドリトル先生についてはこんなふうに。(採り上げたのは航海記)
【 不思議な力を持っている本です。ムシャクシャして、イライラしている時、くたびれて、すっかりいやになっている時、この本を読むと、ホワーンとあたたかい雲の中に入ったように心も身も軽くなります。なんだかうまくやれそうな気がしてくるのです。
それに、とても読みやすいし、本はしっかり厚くてたっぷりしていて、しかも全部で13冊もある上、1冊づつバラバラに読んでもいいんです。
ね、いい本でしょう。】
受付でもらったミニ本の中から。
――……僕らの学生時代には、一定の本は読んでおかなくては話にならないというラインがありました。それで二葉亭四迷やドストエフスキーなどの本も読みましたけど、ある時、もう読み進められなくなって…。自分が解剖されているような気がして。似たような経験が何度かあって、僕は大人の小説には向いてない人間だと決めたんです。児童書の方がずっと気色に合うんです。何が違うかといったら、児童書はやり直しがきくという話ですよ。……――
『星の王子さま』を訳した内藤濯(ないとう・あろう)の、私家版歌集『折々ぐさ』(1978=昭和53年9月刊行)から一首。
<いづこかにかすむ宵なりほのぼのと星の王子のかげとかたちと>