漱石展と後藤新平フェスティバル(3)
第2部はこの日のために作った「映像で見る後藤新平」から始まった。静岡牧ノ原の茶畑を視察する姿の映像や、信州木崎湖夏期大学という後藤も発足に協力した学生や社会人のためのカルチャー教室の様子。木造の建物で畳敷きに座って講義を聴くのである。信州は夏は涼しいし勉強には熱心な土地柄だから合っているのではないかな。合間に木崎湖で遊ぶというのも良さそう。
次にシンポジウム「今、日本をどう立て直すのか―後藤新平から学ぶ」。出席者は佐藤優(外務省元主任分析官、例の鈴木宗男関連で捕まった人と言えばわかるかな)、小倉和夫(外交官。元フランス・韓国駐在大使)、大宅映子(評論家)、塩川正十郎(元財務大臣。塩爺ですな)、粕屋一希(元「中央公論」編集長、「東京人」創刊時の編集長。現在は作家)。司会はさきほどの講演にも出た橋本五郎。
佐藤が今ジャーナリズムで売れっ子なのは知っていたけど、なるほど頭が切れて言うことがいちいちおもしろい。この人はロシアで情報収集活動をしていたのだが、「ロシアにかかわる人は<先生>と見るか<敵>と見るか、極端になっちゃうんです」と言った。そうねえ、日本人とはぜんぜん考え方が違うらしくて亡くなった米原万里はそのへんをおもしろく教えてくれたものだが。
今の日本の現状に対して悲憤慷慨が多くて、立て直すと言っても容易じゃないわなぁという雰囲気が強く流れた。まずは教育からと言っても尊敬されない先生が多いとか、テレビってのはおもしろいことしか取り上げないから「一億総白痴化」ではなく既に「一億総白痴」になってるんじゃないか(大宅映子が自分の父親=大宅壮一のことばに注釈を加えた)、まあとりとめがなかったな。結論らしい物は出ませんでした。
後藤新平流にやるとすれば、よく調べて、対策を考えて実行するということに尽きるでしょうね。今の日本の現状、たとえばなぜ毎年3万人も自殺者が出ているのか、精神医学的に、あるいは社会学的な視点から、経済的な視点から考えてみる。そしてそれに対して対策を考え、実行する。
あと誰かが言っていたが明治初頭の日本の人口は4千万。それが150年くらいの間に1億2千万でしょう。さして広くない土地には多すぎるんじゃないの?いまどんどん人口が減ってると大騒ぎしているけど、わたしは適正規模に向かっているだけのような気がするんだがなぁ。いっとき乗り越えればなんとかなるんじゃないの、というのは楽観的過ぎるかしら。
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きのうわたしがどこに出かけるのか家人がなんにも訊かなかったのでおもしろいと思った。出かけるときは自分のお金で行くのだし、別に関心もないのかもしれないが、いちいちうるさく訊かれるようだと、いやになってしまう。実家でさんざんそういう目にあったせいか(母はまるでわたしのストーカーだった)、無関心に感謝という珍しい事態になっています(笑)。今日になって訊かれたので答えたが興味はなさそうである。