2007/10/29 月曜日

ジェフリー・アーチャーの短編より

Filed under: 未分類 — ぱぐ @ 9:10:36

ジェフリー・アーチャーの本は、翻訳だけだがみんな読んでいる(というか原文で読めるほど英語力がありません。マザー・グースくらいならなんとかなるけど)。

長編もいろいろ好きなのですが、ここでは短編から好きなのを選りすぐってみます。
現在翻訳が出ている短編集は4冊。すべて新潮文庫、永井淳・翻訳。

1.『十二本の毒矢』QUIVER FULL OF ARROWS
   原書1980年、邦訳1987年
2.『十二の意外な結末』A TWIST IN THE TALE
   原書1988年、邦訳1988年
3.『十二枚のだまし絵』TWELVE RED HERRINGS
   原書1994年、邦訳1994年
4.『十四の嘘と真実』TO CUT A LONG STORY SHORT
   原書2000年、邦訳2001年

『十二本の毒矢』より
 ワンナイト・スタンド(One-Night Stand)
  題名は「一夜限りのお相手」という意味。アーチャーお得意の2人の男の友情の始まりから大人になるまでのつきあいの書き方が短編でも生かされている。そしてアメリカ出張した2人が、どちらの好みにも当てはまる女性に出逢って、さて……というお話。

 ハンガリーの教授(The Hungarian Professer)
  ハンガリー動乱から10年のち、ということはちょうどわたしが生まれたころのこと、ブダペストで行われた学生競技大会に参加した「わたし」が、老教授と知り合う。まるで英国人のようになんでも英国のことを知っている教授なのだが……

 ある愛の歴史(Old Love)
  今のところ、これが一等に好き。大好きなケネス・ブラナーとエマ・トンプソンの掛け合いがみごとだった『から騒ぎ』(シェイクスピアの喜劇)のセリフが引用されているのもあるし、あの掛け合いが全編にわたって書かれているようなもので楽しいし、仲のいい夫婦は好きですから。『から騒ぎ』から発想を得たのかな。

『十二の意外な結末』より
 ア・ラ・カルト(A La Carte)
  タイヤ工場に働く男の息子は、ひょんなことからサヴォイ・ホテル(ロンドンの最高級ホテル)に勤めることになり、また偶然から厨房勤めになる。そして……英国人の食に対する頑固さが描かれているのがおかしい。

 クリスティーナ・ローゼンタール(Christina Rosenthal)
  手紙で話が進んでいく。往復書簡ではなく、手紙を読むことによって話が進む手法もあるんだな、と思って感心した。小説を書こうという気はあんまりありませんが、書くなら手紙を使って何か工夫してみたい。
 

『十二枚のだまし絵』より
 眼には眼を(An Eye for an Eye)
  クリスティーの「情婦」ばりのあっと驚くしかけがあります。発想がいいよね。
 

『十四の嘘と真実』より
 手紙(The Letter)
  これも手紙を使っていて、読みながら話が進んでいく手法なんですが、読んでいる人の周囲にいる人が関係してくるのがおもしろい。

 ひと目惚れ(Love at First Sight)
  これは発想を思いつけばできるのではないかと思うけど、どうやら本当にあった話を書いたらしい。

 忘れがたい週末(A Weekend to Remember)
  お目当ての男に逢うための控え駒みたいな役に当たってしまった男の話。男女逆転でも書けそうな気がする。

 隣の芝生は……(The Graas in Always Greener…)
  アーチャーの「サーガ」と呼ばれている大河小説(『ケインとアベル』など)は、登場人物がいちいちその背景までちゃんと書かれていることが魅力の一つだと思うのだけど、この短編ではある銀行の話が、門の前にいるホームレスから銀行の会長まで、それぞれ悩みがあり、すぐそばにいる人物をうらやましく思うことがあり、という連鎖でつながっていく。短編でまとめるのはなかなかむずかしいだろうに、よくまとまっていてほろ苦い人生の味も出せている。

わたしが好む小説は、読んで楽しいもの。人物を描いているもの。お説教は要らない。できればハッピーエンドがいい。たとえ人殺しの話であってもカタルシスがあるもの。というわけで、中学生の時に司馬遼太郎の『燃えよ剣』(新潮文庫)にはまってしまったのですが、ストーリーテラー(お話上手)ということはかなり意識していると思いますね。あと小道具使いのみごとさもけっこう重要ポイントかな。

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