2007/9/15 土曜日

野上弥生子と神谷美恵子

Filed under: 未分類 — ぱぐ @ 7:23:01

この組み合わせでものを考えるのは、なかなかおもしろいと思っている。

神谷美恵子のことを考えるとき、本人だけにこだわっていると見えないものがあるので、対照的な人物を持ってくると補助線のように効いてくる。

野上弥生子(1885=明治18-1985=昭和60)は満100歳直前まで現役ばりばりだった日本では珍しい作家。

出発点は郷里、大分の臼杵で漢学を習ったこと。そして東京に出てきて明治女学校に入ったこと。最後の小説で未完に終わった『森』(新潮文庫)はその明治女学校の話。同郷の夫(野上豊一郎)が大学で漱石に習ったことから、そのつながりで漱石に習作を見てもらい、作家としてのスタートが始まる。
片思いの初恋の人が中勘助で、夫が野上豊一郎、夫亡き後の恋人(と言っても年齢的にプラトニックだったようだけど)が哲学者田辺元だったというのは、この人の精神のありようを象徴していると思う。

神谷美恵子は学者(精神医学)になり、29歳年上の野上弥生子は作家になった。29歳違いというと親子ぐらいですね。これもおもしろいなあ。一世代違うわけなので。

神谷美恵子は自分の進路をはっきり決めるまでの期間が長いのだけど(医学に進むのは25歳、結婚は32歳)、野上弥生子の作家としての出発は22歳。早婚がふつうだった当時としても結婚した翌年ですからね。もうよほど早いうちから自分のやるべきことを見据えていたとしか思えない。

単に小説やエッセイを書くだけでなく、社会に対する関心も深かったしお勉強も大好きで本来は学者になるべき人だったんじゃないか。神谷美恵子が作家で野上弥生子が学者(なんの学者かなあ。ギリシア哲学とか似合いそうだ(笑)の方が、合っていたのでは?

あれだけ文才がありながら、結局、神谷美恵子が本格的な小説を書く作家にならなかったことについてはまた別に考えてみたい

弥生子は膨大な日記を残していて(岩波から出ている全集に入ってる)、実は小説よりこっちの方がおもしろいんじゃないかと思うんですが(だって芥川より年上で行き詰まりを見通していたというのだから)、この日記から神谷美恵子についてどう書いているか探すのを楽しみにしています。敬愛し合っていたことは確かなんだけど、案外弱点(?)を辛辣に書いていたりするかもしれないので。

野上弥生子のすごさについては松岡正剛が『秀吉と利休』を取り上げて語っています。参考になさってください。

 

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*こんなに簡単に次の流れ(福田康夫)が決まっちゃっていいのかしらん。関ヶ原の戦い前に家康に流れが決まっていた、というのと同じか。それにしても額賀というひとは潮を読むのがだめですねえ。

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